4. 基本方針

 神代植物公園の最大の特徴は、「豊かな花と緑を楽しみながら植物の知識が得られる」植物園 としての運営を行っている点で、多くの園芸品種を収集・展示している他、緑の相談所を設置し 都市緑化の普及を行っている点である。

 また、本公園は、国分寺崖線沿いの樹林地や湧水、植木畑や田畑、深大寺を始めとする社寺等 が分布する武蔵野の面影を残す環境に立地し、周辺の環境と一体となって緑の拠点を形成してい る。

 一方で、観賞利用中心の公園本体と普及中心の緑の相談所の運営での結びつきが弱いこと、有 料公園であることから地域の住民の親しみが薄いこと等が課題として挙げられ、今後、さらに魅 力的な植物公園としての充実が求められる。

 「22世紀の都市の森づくり」は、都立公園を舞台に都民・東京都・企業が協働で森づくりを行 い、人と自然、人と人との交流を通じて人と自然の共生を実現させることを目指すものである。

 以上のような背景を踏まえた、神代植物公園の魅力の向上、公園と利用者の新しい関係づくりへ の貢献が求められる。

 以上のことから、「22世紀の都市の森づくり」の基本方針を以下のように設定する。


神代植物公園における森づくりの基本方針

(1) 都民・東京都・企業の協働による森づくりの実現

 22世紀の都市の森づくりは都立公園における都民・東京都・企業の協働による新たな取り組み である。本公園の森づくりにおいて協働による仕組みを確立し都立公園全体への拡大を目指す。

(2) 参加・体験型の植物公園利用の実現

 22世紀の都市の森づくりの対象地である東地区は、展示機能に加え参加・体験型の要素を取り 入れた新しい植物公園を目指すエリアである。22世紀の都市の森づくりについては参加・体験型 の植物公園利用を先導し、新たな植物公園の魅力づくりに貢献する。

(3) 地域の環境形成の核となる森づくり

 神代植物公園は、国分寺崖線の斜面林や周辺の農地、深大寺等の歴史・文化に囲まれた環境に 位置しており、その中でも緑の拠点となっている。都民が本公園において、森づくりを行うこと により、人と自然の共生、循環型の社会づくり等の重要性を実感し、22世紀までつながる環境形 成の輪を広げていく。

(4) 都民の交流の場としての森づくり

 子供から高齢者まで様々な都民が、森づくりに気軽に楽しく参加できる運営を実現し、様々な 立場や、世代を越えた交流を通じて、22世紀に森づくりを伝えていく。

(5) 植物公園としての既存の機能を活かした森づくり

 神代植物公園は豊富な園芸植物のコレクションと庭園としての美しさを備え、また、緑の相談 所を中心に都市緑化の普及に取り組んでいる。22世紀の都市の森づくりにおいては、この神代植 物公園の持つ機能を最大限に活用する。